※こちらの表紙画像は、AIで作られた実在しない人物です。
ChatGPTにはじまり、生成AIの進化は止まることを知りません。
情報のスピードも非常に速く、「先週は最先端だったツールの上位互換が出てしまった..」なんてことも日常茶飯事です。
いまや「AIを使いこなす」ことは、立派なスキルになりつつあります。
そこで議題に挙がってくるのが「生成AIの研修を受けるべきか否か」です。
本記事では、生成AI研修とはどんなことを教えてくれるのか具体的に解説した上で、必要性を判断いただくためにメリット・デメリットを解説していきます。(この記事は短めなので、3分くらいで読めます)
生成AI研修とは?
生成AIの研修とは、その名の通り「ChatGPT(OpenAI社)」や「Copilot(マクロソフト社)」といった生成AIの使い方を教えてくれる研修です。
多くのAI研修では、使い方だけでなく、各企業にあった活用方法も指南してくれます。
生成AI研修は、主に次の3フェーズで進んでいきます。
※各研修会社によって異なります。
1.初級〜中級 | 生成AIの概要を理解する |
2.中級〜上級 | 各ツールの使い方やプロンプトのコツを覚える |
3.上級〜開発者 | GPT構築など、生成AIを実務に落とし込む |
1.生成AIの概要を理解する:初級〜中級
生成AIに関するリテラシーを上げるフェーズです。
「どんなAIツールがあるのか」や生成AIを使うリスクを知り、自身の業務にどのように活かせるかをイメージできるようにします。
2.各ツールの使い方やプロンプトのコツを覚える:中級〜上級
例えば、ChatGPTであれば、通常のチャット形式の問答から、「DALL・E・3(ダリスリー)」を使った画像生成の方法などが挙げられます。
他にも、マイクロソフト発の生成AIツール「Copilot for Microsoft」など、ビジネスの現場でよく見られる生成AIの基本的な使い方を学びます。
また、プロンプト(生成AIに出す命令のようなもの)のコツも研修内容に含まれます。
例えば、SEOの記事制作を生成AIにやってもらう際、一度に「◯◯というキーワードで、4,000文字の文章を書いてくれ」といっても、その通りにはやってくれません。
まずは構成を作ってもらって、条件を指定して、、、といった具合に、プロンプトを学んだ方が、より効率的に生成AIを活用できます。
3.GPT構築など、生成AIを実務に落とし込む:上級〜開発者
自社専用のGPTを作ったり、チャットbotを構築したり、業務効率化ツールを開発したりと、生成AIを実務に落とし込む方法を学びます。
例えば、dotstudio株式会社が東京化成工業の新入社員を対象にした生成AI研修では、10日間にわたり「AIを使った社内向けアプリの開発」カリキュラムを実施。
実際に、40を超えるプロトタイプが生まれ、現場の社員自らが課題を発見し、テクノロジーで課題解決できるような土壌生成に成功しています。
参考:生成AIネイティブ世代の新人社員を育成、「Difyなどを用いた生成AIキャンプ」を実施 ~試薬業界の新人がAI社内アプリを開発~|dotstudio株式会社のPRTIMES
生成AIの研修は受けるべきか否か
結論、「生成AIにハマって探求し続けられる方以外は、研修を受けるべき」だと思います。
生成AIの研修と聞くと、「自分たちで学べるのでは?」と思う方も多いと思います。
もちろん、無料の学習コンテンツは世の中に溢れているので、YouTubeやブログを読んで勉強すると良いでしょう。
ただ、英語や簿記の学習と同じで、人は「強制力」がないと中々学び続けられるものではありません。
一定時間とお金をかけ、リスキリングの一環として、研修を受けてみてはいかがでしょうか。
また、生成AIが日本・世界で禁止されない限り、人間の多くの仕事が今後数年以内に取って代わられかもしれません。
その際、生成AIを使いこなせる会社と使いこなせない会社では、大きな差が生まれてきます。
そして、その差は「生成AIに精通している社内人材」が豊富にいるかどうかで決まってくるでしょう。
ちなみに、2024年7月に総務省が公開した情報通信白書によると、日本での生成AI利用状況は、わずか9%にとどまっています。つまり、生成AIを仕事に活用できているだけで、他社・他国と差別化できる美味しいタイミングなのです。
生成AI研修の費用相場
生成AI研修の費用相場は、研修の内容や形式、期間によって大きく異なります。一般的に、1日あたり数万円から数十万円程度が相場となっています。研修によっては初期費用が発生する場合もあります。
企業名 | 研修名(一例です) | 費用 | 備考 |
---|---|---|---|
DXHR株式会社 | SEC-AI | 通常価格40万円 | 人材開発支援助成金利用で1研修1人あたり約10万円 |
株式会社Algoage(DMMグループ) | DMM 法人向け生成AI活用研修 | 生成AI活用講座6コース 30万円〜 | – |
株式会社スキルアップNeXt | ビジネスパーソンのための対話型生成AI講座 | 27,500円/1名(税込) | eラーニング形式 |
株式会社ACES | ChatGPT/生成AIのビジネス活用推進プログラム | 300万円(税抜) | – |
カナン株式会社 | AI研修 | 要問い合わせ | カスタマイズ可能 |
トレノケート株式会社 | ChatGPTで学ぶ生成AIビジネス活用 | 33,000円(税込)〜 | オンライン研修 |
株式会社インソース | AI(人工知能)研修 | 33,600円(税込)〜 | 複数のコース有り |
株式会社LIG | 生成AIコンサルティングサービス | 要問い合わせ | カスタマイズ可能 |
株式会社キカガク | 法人研修(カスタマイズ研修) | 77,000円〜(税込) | – |
株式会社AVILEN | ChatGPTビジネス研修 | 11,000円/1名(税込) | 第20回日本e-Learning大賞「生成AI特別部門賞」受賞 |
Cynthialy株式会社 | AI Performer | 要問い合わせ | 複数のコース有り |
生成AI研修を受けるメリット
1.生成AIについて体系的に効率よく学習できる
一口に生成AIといっても、文章生成から画像生成、アプリ生成などその範囲は多岐にわたります。
それぞれプロンプトのルールも微妙に異なるうえ、次から次に新技術が登場するため、「何から学習すればいいのか分からない」となりがちです。
生成AI研修であれば、体系化されたプログラムで効率よくインプット・アウトプットできるでしょう。
2.業務効率化やコスト削減につながる
生成AIは、文章を作成したり、アプリを作ったりするコストを大幅に下げます。
それだけでなく、社内の研修資料を学習させたAIを用意すると、新入社員が入ってきた際の研修時間も削減できるでしょう。
実際、三菱UFJ銀行では、行員4万人を対象にマイクロソフト経由でChatGPTを導入。
稟議書の文章作成や社内文章のドラフト作成に活用し、生成AIで月22万時間の業務効率化につながったそうです。
当然、現場では「どうやってAIを業務に活用するのか」「AIを活用する際の注意点」について研修があったと考えられます。
参考:三菱UFJ銀行、生成AIで月22万時間の労働削減と試算|日本経済新聞
3.会社の競争力があがる
生成AI技術を積極的に導入している企業は、まだ多くありません。
生成AIを導入するだけでなく、研修を通して定着させることで、市場において強い優位性が期待できるでしょう。
例えば、アパレル業界では、ZARAが生成AIを活用して消費者トレンドを分析し、商品開発のスピードを大幅に向上させています。また、自動車業界では、テスラがAIを活用した自動運転技術の開発を加速させ、業界をリードしています。
参考:Case Study: Zara’s Comprehensive Approach to AI and Supply Chain Management|AI EXPERT NETWORK
4.社員のキャリア開発・モチベーションUPに繋がる
生成AI研修は、大きな視点で見ると「リスキリング」の一環です。
リスキリングとは、ビジネスの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させることで、経済産業省も注目しています。
参考:リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―|経済産業省
エクセルや経理といった領域と同じように、生成AIはさまざまな業務に使える汎用的なスキルですので、「研修させたはいいものの、意味があまりなかった」といった事態にはなりにくいでしょう。
生成AI研修を受けるデメリット
1.業界スピードが速く、情報が陳腐化する可能性がある
生成AI技術の進歩は日進月歩です。例えば、2022年11月に登場したChatGPTは、わずか半年後にはGPT-4にアップデートされ、機能や性能が大きく向上しました。
このような急速な進化により、高額な費用をかけて受講した研修内容が、数ヶ月後には古くなってしまう可能性があります。
そのため、一度の研修で終わりではなく、継続的な学習が必要となり、企業にとっては追加の時間と費用の投資が必要です。
2.技術格差による組織文化への悪影響も考えられる
生成AI研修を受けた社員と受けていない社員の間で、技術スキルの格差が生まれるリスクがあります。
例えば、広告代理店では、AIを使いこなせるクリエイターとそうでないクリエイターの間で、作業効率や成果物の質に大きな差が出始めているそうです。
このような格差は、チーム内のコミュニケーションに支障をきたしたり、業務の分担に偏りが生じたりする恐れがあります。また、AIへの過度の依存により、人間の創造性や批判的思考力が低下する懸念も指摘されています。
3.高額な研修費用がかかる
生成AI研修費用の相場は、最低3万円〜300万円と形式や期間、カリキュラムによって大きく変動します。
企業の規模によっても異なりますので、いくつか見積もりを取ってみてもいいでしょう。
また、生成AI含め、リスキリングに対しては人材開発支援助成金が使える可能性が高いです。
最大75%ものコストカットできるケースもあるようですので、別記事にて詳しく解説しようと思います。
最後に:生成AIをまずは触ってみるところから
生成AIの研修の内容や費用の相場、メリット・デメリットについてかなり詳しく解説いたしました。
「AIに使われるのではなく、AIを使う人材」になる/育てるために、生成AI研修の活用を前向きに検討しましょう。
ただ、まずはこの記事を読んでいる皆様にChatGPTなどの生成AIを触ってみていただきたいです!
「え!こんなに速く文章作れるんだ!」と感動すると思います。
すでに触っている方は、ぜひお気に入りのAIツールに少しだけ課金して、遊んでみるのも良いでしょう。